子供が野球を始めたいと言っても、どのようなチームに入れればよいか判断が難しいです。野球と一言で言っても硬式野球・軟式野球・ソフトボールなどボールの種類も様々あります。それぞれのボールの特徴とメリット・デメリットを整理していきます。
ボールの特徴
硬球(硬式球)
硬式野球で使用するボールです。ゴムもしくはコルクの芯を糸でぐるぐる巻きにして、革で覆い縫い合わせたボールです。縫い目は108つあり、偶然ですが煩悩(除夜の鐘)の数と同じです。硬式野球は小学生から大人まで同じサイズのボールを使用するのも特徴の一つです。
サイズは公認野球規則によって、円周22.9~23.5cm、重量141.7~148.8gと定められています。しかし、メーカーごとに縫い目の高さ、革の質感が異なり、投球・打球に大きな影響が出ます。練習で使うボールは所属団体の公式戦で使用するメーカーの物を購入したほうが実戦と同じ感覚で練習できます。
軟球(軟式球)
軟式野球で使用するボールです。中が空洞のゴム製のボールです。軟式野球は年代に合わせてボールの大きさと重さが異なります。規格変更があり、旧規格のA号球、B号球、C号球と新規格のM(メジャー)号とJ(ジュニア)号という規格が混在しています。
旧規格ではA号が一般、B号が中学生、C号が小学生用です。新規格のM号球は一般・中学生が使用し、J号球は小学生が使用します。M号球は直径72±0.5mm、重量138±1.8g、J号球は直径69±0.5mm、重量129±1.8gです。
新規格への移行は高校生が平成30年度全日本軟式野球連盟主催大会から、平成31年度全国中学軟式野球大会からです。小学生の学童野球は平成31年度予定で計画されています。野球は夏から新チームが始動するので、中学生は2018年夏の新チーム練習開始からM号球に切り替わります。
軟球は日本独自の規格のボールです。海外では野球と言えば硬球のみで、軟らかいボールでするのはソフトボールです。しかし、軟球は日本国内では広く普及し、小学生から大人の草野球まで多くの人が使用しています。
軟式の分類に準硬式球という準硬式野球で使用するボールもあります。硬式球と同様の芯を軟式と同じゴムで覆ったものです。ボールの分類は軟式ですが、グラウンドの利用許可などは硬式可の所でないと使えない事が多いです。現在は利用する人が少なくなっています。
ソフトボール
野球とは少しルールが異なりますが、小学生の時にソフトボールをしていて、高校野球やプロ野球で活躍している選手もいます。ソフトボールはコルクチップを接着剤で固めたもの芯にして、それを糸で巻き付け、ゴムもしくは革で覆います。
一般的に馴染みのあるのはゴム製ですが、国際大会などでは革製のボールが使われています。ゴム製に馴染みがあるのは、日本国内でゴム製も公式球として認められているのが要因です。材質がゴム・革と異なるのも大きな特徴です。大きさは3号・2号・1号があります。
- 3 号ボール(革製) 大学・社会人 円周30.48 cm±0.32 cm、重さ187.82 g±10.63 g
- 3 号ボール(ゴム製) 中学生以上 円周30.48 cm±0.32 cm、重さ190 g±5 g
- 2 号ボール(ゴム製) 小学生 円周28.58 cm±0.32 cm、重さ163 g±5 g
- 1 号ボール(ゴム製) 小学生低学年 円周26.70 cm±0.32 cm、重さ141 g±5 g
ボールの種類別メリット・デメリット
硬球のメリット
硬球を使用するメリットは小学生からプロ野球まで同じボールなので、プロ野球と同じ感覚で野球経験を積めることです。ボールの種類が異なると投げる・打つ・守る全てにおいて感覚が異なるので、小学生からプロ野球と同じボールというのはとても大きなメリットです。
バッティングにおいてもメリットがあります。硬球に対応するバットは軟球対応のバットよりも重いです。硬球自体も軟球より重く、バットも重いので、軟球でプレーしている子供よりもパワーが身についていることが多いです。
硬球のデメリット
硬球を使用するデメリットはボールの重さと硬さによる故障と怪我です。軟球より重いため肩・肘にかかる負担が大きく故障のリスクは高まります。特に投手と捕手は投げる量も他のポジションより多いので注意が必要です。
故障だけではなく怪我にも注意が必要です。硬く重たいため体に当たった時の衝撃が強く、骨折などの大きな怪我になる可能性があります。頭部など当たり所が悪ければ命に関わることもあるので、子供に使わせるには不安要素です。
怪我のリスクが高いので、硬球が使用できるグラウンドは高い防球フェンスなどの設備がいります。そのため硬球を使用できるグラウンドが少ないので、練習場所の確保も難しく、自主練習できる場所もあまりありません。
軟球のメリット
軟球を使用するメリットは安全性です。硬球に比べると軽く軟らかいので、体に当たった時の怪我のリスクが下がります。野球のプレー感覚は味わうことができ、怪我のリスクが低いので、子供に野球を経験させる上では安心です。
他にも大きなメリットとして、軟式野球が広く普及していることです。軟球は日本独自の規格ですが、小学生の軟式野球は学童野球と呼ばれ、チーム数も多く、小学生の野球人口は学童野球が圧倒的に多いです。歴史の長さと野球人口の多さで大会や試合相手、練習場所も十分に確保されています。
軟球のデメリット
軟球を使用するデメリットはプロ野球選手・甲子園出場を目指しているのであれば、硬球へ転向する時に投げる・打つ・守る感覚を新たに適応しなければならない点です。投げる動作は軟球でも同じなので適応しやすいですが、打つ・守るは適応に時間がかかります。
プロ野球選手で中学時点での硬球・軟球の出身者でみると投手は同じくらいの割合ですが、打者では硬球出身者が多くなります。打つことに関しては重たいボールとバットを使うことが身体能力の差につながり、守りにおいては硬球と軟球では跳ね方があまりに違い、野手育成に軟式は不利と言えます。
ソフトボールのメリット
ソフトボールを使用するメリットはボールが重いので打撃面でのパワーが身につくことです。ソフトボール経験者は打つ時にボールを運ぶ感覚が身についていることが多く、硬球に転向しても打撃面では主力になることも多いです。
守備も軟球ほど跳ねず、硬球に跳ね方が似ているので硬球に転向しても適応しやすいです。
ソフトボールのデメリット
ソフトボールを使用するデメリットは将来野球をする予定であれば、ルールが野球と異なる点です。特に走塁面ではリードがなく、野球に転向した時に最も戸惑うポイントでしょう。他にも塁間の距離が違いプレー感覚が異なります。
次にボールの大きさが野球と違いすぎることです。ボールが大きいので投げる時に握り方がわしづかみになり、野球転向時にボールの握り方を修正するのに苦労します。子供が野球で投手を目指す場合はソフトボールでの経験が活きてこないです。
野球をしたい子供におすすめするボールの種類
将来、甲子園出場・プロ野球選手を目指すのか、趣味として楽しむためなのかで選択肢が変わってきます。趣味としてするなら軟式野球かソフトボールがおすすめです。小学生から大人まで多くの人がプレーする環境が整っており、生涯楽しめます。
甲子園出場・プロ野球選手を目指す場合に小学生から硬式野球をさせるかどうか迷うポイントになると思います。しかし、小学生時点ではボールの種類にこだわるよりもプレー環境に注意したほうが良いです。
理由としては、ゴールデンエイジと呼ばれる子供の成長が加速する年代が小学生は神経系、中学生は持久力、高校生は筋力と年代で成長しやすい内容が異なるからです。小学生は筋力がつきにくく、運動神経が発達しやすいので、練習内容や試合経験などが神経を刺激できる環境が重要です。
小学生から硬式野球をしても同学年の選手が少なければ、満足な練習をすることができません。近隣にチームが少なく、試合数が少なければ試合感覚が身につきません。小学生の子供には指導内容・練習量・選手数・試合数などの環境で決めましょう。
ただし、投手を目指すのであればソフトボールではなく、小学生から硬式野球か軟式野球をして投球の感覚を身につけることをおすすめします。運動神経が最も発達する小学生の段階で投球の経験をして感覚を身に着けておきましょう。
小学生はボールの種類にこだわる必要はないですが、中学からは硬式野球をするのが断然おすすめです。成長期の早い遅いもありますが、筋力もつき始める時期で神経系の成長も最終段階に入っています。
硬式野球をすることで硬式の感覚で運動神経が刺激されます。神経系の発達が鈍化する前に硬式野球をすることで、プレーが洗練されていきます。そして、硬式野球はボール・バットが重く、パワーがいります。筋力がつき始める時期に硬式野球をしていることで効率よくパワーが身につきます。
しかし、投手であれば中学生以降も軟式野球をするのも良いでしょう。投手は軟式から硬式に転向しても筋力が付き適応できます。むしろ投手の最大の敵は故障です。プロ入り確実と誰もが認め、スーパースターと呼ばれる選手が故障で挫折することは多々あります。
軟式野球の方が肩・肘の負担が軽いので故障リスクは低減できます。ただし、軟式野球でも投球数が多ければ故障はします。投手志望であれば、指導者の投手起用方針を確認し、故障のリスクを避けることが最も重要です。
コメント
[…] チームを考える上でボールの種類の判断も必要になってきます。硬球・軟球・ソフトボールと選択肢があります。ボールの種類ごとの特徴は硬式・軟式・ソフトボールどれが子供にいい? ボール別特徴 で紹介しています。 […]
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