テクニカルピッチの性能紹介とデータをフル活用する方法

トレーニング用品

「テクニカルピッチ」は投球を球速だけではなく、球質(回転数・回転軸など他多数)も計測できる高性能な投球計測ボールです。高性能ですが、使い方は簡単なので個人でも導入しやすいです。自分の投球を数値で把握でき、課題が明確になり、成長を促進できる優れものです。

公認野球規則に準じた大きさ・重さで作られていて、硬式球・軟式球(M号・J号)の3種類あります。小学生の軟式野球から硬式野球まで幅広い選手の投球技術向上をサポートしています。

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テクニカルピッチで計測できること

  • 球種
  • 球速
  • 回転数
  • 投球モーションのタイム
  • 回転成分
  • 回転軸
  • 回転アニメーション
  • 腕の振り(強さ)

テクニカルピッチの良い点

テクニカルピッチとスマホがあれば簡単に使えます。ボール自体が計測器のため、計測方法による誤差が出にくいです。しかも、計測者がいなくても、スマホを地面に置いたり、三脚に立てたりして計測できるので、ピッチャーとキャッチャーの2人だけで使えます。計測方法はが容易で、アプリを起動してテクニカルピッチとスマホを連携した後に投げるだけで計測できます。

1つのボール(アカウント)で複数の投手を登録できるので、個人だけでなく、友人同士やチームで活用することもできます。友人同士やチームで購入すれば一人当たりの費用を抑えることも可能です。

データをクラウド上で一元管理しているので、異なる端末からもログインしてデータを見ることや計測することができます。チームや友人で使う場合も、計測用のスマホは不要で、アプリさえ入れておけば誰のスマホでも使えるので複数人で使う場合もとても便利です。

テクニカルピッチの測定データ活用方法

テクニカルピッチは高性能ですが、球速・回転数・回転成分・球種に注目しがちで、せっかくの高性能を活かしきれていないケースが多いです。球速や回転数は多くの人に知られていますが、それ以外の計測データは馴染みがないですが、有効活用することで技術向上に大きく貢献します。

球種ごとの球質をチェックする

テクニカルピッチには球種を測定する機能があります。事前に投げる球種を設定して測定する方法と、投げた球種を自動測定する方法があります。自動測定に設定していると投球後に回転軸や回転成分から球種を判定してくれます。

球種を自動測定している場合にストレートを投げても、回転軸や回転成分からシュートやスライダーなどの測定結果になることがあります。自動測定を使うことで意図した球種を投げられているかチェックができます。ストレートの質は投手にとって生命線です。球質を知り、意図した投球ができる指標になります。

変化球も意図した変化球と異なる表示になることがあります。スライダーを投げて、カーブの計測であれば投げる時に腕の振りが緩んで、変化の鋭さがなくなっている可能性があります。変化球の精度を上げることでピッチングに幅が出ます。球種の自動測定で球質チェックをすることは意図したピッチングへの第一歩です。

球種は左上、回転成分はボールアニメーションの周囲に表示

投球フォームの力の伝達を良くする

腕の振り(強さ)の測定では投球中の腕の力の入り方動きの強さがわかります。力を入れて腕を振っても、あまり球速や回転数が上がらないことや、力を抜いて投げたつもりが球速や回転数が高くなることがあります。

リリースするタイミングで最も腕を強く振れるのが理想ですが、力んで効果的に腕が触れていないなどを可視化してチェックできます。このデータによって、リリースの前段階で無駄な力が入っていないか、リリースポイントで腕の振りがピークになっているか、リリース時に腕の振りの強さが出ているかをチェックできます。

効率的な理想のフォームを追求することができるので、先発で完投を目指す場合は、いかに脱力して効率的に良いボールを投げられているのかを知るのに役立ちます。抑えで守護神を目指す場合は、リリース時の腕の振りの強さが出ているかを知るのに役立ちます。

腕の振り(強さ)は画面下でアニメーション表示

クイックモーション時の球質を上げる

投球モーションのタイム測定では、「モーション開始からリリースまで」「リーリスからキャッチャーが捕球するまで」と「モーション全体」の秒数がわかります。クイックモーション時のタイムを計測する事で盗塁阻止とクイックモーション時の球威減少防止に活用できます。

盗塁阻止力を上げる

盗塁阻止には投手要因と捕手要因がありますが、「モーション開始からリリースまで」のタイムが投手要因です。クイックモーション時の秒数を縮め、球威が保てているフォーム作りに活用できます。タイム測定とモーションによる球威への影響を見ることで課題が明確になります。

「リーリスからキャッチャーが捕球するまで」は投手要因と捕手要因の両方があります。投手要因は球速による秒数の影響です。クイックモーションで極端に秒数(球速)が落ちていれば、クイックモーションのレベルを高める必要があります。

捕手要因は球種による秒数の変化です。捕手は投手の球種ごとの秒数を把握しておくことで、自分の二塁送球のタイムと合算して、どの球種であれば盗塁が阻止できるか計算できます。盗塁してきそうなカウントでストレート一択にならず、配球に役立てることができます。

クイックモーション時の球威減少を減らす

クイックモーションになると打たれるなどの課題があれば、クイックモーション時と通常時の差を埋めることで対策が取れます。「リーリスからキャッチャーが捕球するまで」の秒数や球速・回転数などがモーションの違いでどのように影響しているかを把握すれば、クイックモーションの対策が立てられます

モーションのタイムは上部の球種・球速・回転数の下に表示

変化球のキレ向上

回転数や回転成分のデータは変化球の球質を把握する上で重要ですが、変化量があるのに打たれるなどの課題がある場合は、フォームで気づかれているか、変化のタイミングが早い可能性が考えられます。

フォームの癖を修正する

球種ごとにフォームの癖がある場合、バッターは早い段階で球種の変化を察知できるので、打たれやすくなります。変化球を投げる時に腕を振りすぎたり、緩んだりする投手が多いので、腕の振りの強さやリリースまでの秒数をストレートの時と比較することで対策が取れます。

腕の振りの強さは球種で異なりますが、ストレートと同じ腕の振りの変化球であれば、いかに同じ腕の振りの強さに近づけるかが重要です。ストレートと変化球の腕の振りのデータを比較して、差を埋めていくことで打ちづらい変化球を身につけられます。

また、球種によって力の入るタイミングに大きな差が出ていないかをチェックする事もできます。球種ごとに力の入るタイミングが異なれば、バッターは対策を取りやすくなります。同じ投球フォームで様々な変化球を投げられるようになれば、カーブのようにストレートと軌道が異なる球種でも、バッターはリリースまで気づくことができなくなります。

変化のタイミングを把握する

リリースから捕球までのボールの回転アニメーションで、回転軸の傾きが変化していく様子がわかります。アニメーションだけではどのタイミングで変化が始まっているか把握しづらくはありますが、キャッチャーの意見を参考にすることで変化球の質を把握することができます。

同じ球種で打たれていない投手のアニメーションを参考にしたり、自分の成長を把握することで変化球の質を高めていけます。

変化球の中でフォークはアニメーションで球質を把握しやすく、横回転が加わって意図した落ち方にならないなどを把握できます。ストレートも回転軸の変化が把握しやすく、球質の向上に活用できます。

画面中央のアニメーション 回転軸を赤色で表示

テクニカルピッチを使う時の注意点

購入時はボールに「TECHNICAL PITCH」の印字がされていますが、使うと摩擦ですぐに印字が消えます。印字が消えると通常のボールと見分けがつかないので、なくさないように注意が必要です。

計測の誤差が出にくいテクニカルピッチですが、ボール内蔵のセンサーが「モーション始動からキャッチャーの捕球まで」のボールの動きを察知して計測しています。捕球前にバウンドしたり、キャッチャーが捕球しなかったりすると測定数値がおかしくなり、正しく計測できません

データをクラウドに上げるのに通信が必要です。設定で「常に自動アップロード」にしていると通信料金が高くなる可能性があります。「WiFi接続時のみ自動アップロード」や「自動アップロードしない」の設定しておけば思わぬ出費を防げます。

投球専用に作られているので、打撃練習には使えません。壁当てなどの衝撃も故障の原因になります。

テクニカルピッチ以外の測定器

ミズノ MA-Q(マキュー)

テクニカルピッチと同様にボール内蔵のセンサーで投球内容(球速・回転数・回転軸)を測定できます。ミズノの製品で、特長としては充電式(充電器は別売)であることです。縫い糸が青色なので、練習球との見分けがしやすいのもポイントです。

ラプソード

Rapsodo Japan (ラプソード) - 野球
ラプソードの野球向け商品は、MLB全30球団、NPB10球団を始めとし、​国内でも社会人、大学、高校、中学硬式とアマチュ...

カメラとレーダーでボールの動きを測定します。MLBなどでも導入されている本格的な測定器です。投球用と打球用の測定器があります。どちらも715,000円(税込)と個人ではかなり高額ですが、チームでより高いプレーを追求するのであれば、導入する価値がある機材です。

設置場所がグラウンド内になるので、試合時の測定はできず、練習時のみ利用できます。テクニカルピッチほど小型ではありませんが、持ち運びが可能です。

鹿児島県薩摩川内市のふるさと納税で、ラプソード設置の練習施設の利用券がありました。ラプソードをピッチング用もバッティング用も備えていると記載しているので、興味がある方や導入を検討している方は体験するのもありでしょう。





トラックマン

データとアクショナブルインサイト
業界をリードするTrackManテクノロジー。試合中や練習中に正確なボールと選手のトラッキングデータを提供します。

投球だけでなく打撃時の球速や打球角度、守備データなども計測できるプロ仕様の計測器です。金額も約320万円からと高額ですが、MLBでは試合を開催する30球場の設置実績、NPBでは11球団の導入実績があります。レーダーとカメラで測定し、球場設置の試合用と持ち運び可能な練習用があります。

ホークアイ

ソニーグループポータル | 可視化のテクノロジーでスポーツの感動を支える
プロスポーツの世界では、人の視力の限界を超える速さや複雑なプレーが繰り広げられます。それらを判定する審判員を、ホークアイ...

ホークアイはボール・バットや選手の動き、骨格情報などをカメラ(映像)で数値化するプロ仕様の計測器です。テニスのイン・アウト判定やサッカーのVARなどのプロスポーツにも使われていて、野球以外の競技で目にすることも多いです。

ソニーグループの製品でMLBでは全球場・球団が導入し、NPBではヤクルトと広島が導入しています。球場に設置する製品なので、一般販売はないようです。費用は設置方法によりますが、数千万円のようです。

ホークアイ | 東京ヤクルトスワローズ

テクニカルピッチ導入のメリット

本格的な投球データを計測できるテクニカルピッチは、性能を考えると格段に安く、個人でも導入しやすいです。その上、使い方も専門的な知識は不要で簡単です。機材の設置の手間がなく、持ち運びが楽チンなので、どの練習場所でも使えるのも便利です。レベルアップを目指すピッチャーには欠かせない逸品です。

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